あなたに、キスのその先を。
だから、今のままの自分では嫁として受け入れられないと先方さまが仰っておられるとうかがったとき、妙に納得したりもして。
「私、健二さんの奥さんになるのが怖いんです、……とても」
私と健二さんとの結婚を望んでくれている両親には、申し訳なくて言えなかった言葉。
それを、私は修太郎さんに吐露してしまっていた。大好きな修太郎さんに、何とかしてこの境遇から助けて欲しいと思ってしまったからかもしれない。
私一人では、この柵を断ち切れる力がない気がしたから。
「大丈夫。僕が絶対に……そんなことにはさせませんから」
ぎゅっと私を抱きしめると、修太郎さんがぽつんとつぶやく。
私が欲しい言葉が、どうして修太郎さんには分かってしまうんだろう。
修太郎さんの腕の中で、私は嬉しくて泣いてしまいそうになる。
「僕に貴女のことを頼むということが、どういうことになるのか、考えられなかった彼らが悪い」
修太郎《しゅうたろう》さんは私を抱く腕に力を込めると、まるでご自身に言い聞かせていらっしゃるかのようにそうおっしゃった。
「……いや、考えがないのは一人だけか」
何かに思いをはせるようにそうつぶやくと、そこで私の頭を優しく撫でながら、修太郎さんが微笑まれる。
「日織さん、お願いがあります」
私の顔をじっと見ながら修太郎さんが声の調子を変える。
私は彼を見上げて「どんなことでしょうか?」と問いかけた。それは、私に出来ることだろうか?と不安に思いながら。
「近いうちに、どうにかして健二と二人きりで会う約束を取り付けてください。彼と話して……全ての片がついたら……その時こそキスのその先に進みましょう」
「私、健二さんの奥さんになるのが怖いんです、……とても」
私と健二さんとの結婚を望んでくれている両親には、申し訳なくて言えなかった言葉。
それを、私は修太郎さんに吐露してしまっていた。大好きな修太郎さんに、何とかしてこの境遇から助けて欲しいと思ってしまったからかもしれない。
私一人では、この柵を断ち切れる力がない気がしたから。
「大丈夫。僕が絶対に……そんなことにはさせませんから」
ぎゅっと私を抱きしめると、修太郎さんがぽつんとつぶやく。
私が欲しい言葉が、どうして修太郎さんには分かってしまうんだろう。
修太郎さんの腕の中で、私は嬉しくて泣いてしまいそうになる。
「僕に貴女のことを頼むということが、どういうことになるのか、考えられなかった彼らが悪い」
修太郎《しゅうたろう》さんは私を抱く腕に力を込めると、まるでご自身に言い聞かせていらっしゃるかのようにそうおっしゃった。
「……いや、考えがないのは一人だけか」
何かに思いをはせるようにそうつぶやくと、そこで私の頭を優しく撫でながら、修太郎さんが微笑まれる。
「日織さん、お願いがあります」
私の顔をじっと見ながら修太郎さんが声の調子を変える。
私は彼を見上げて「どんなことでしょうか?」と問いかけた。それは、私に出来ることだろうか?と不安に思いながら。
「近いうちに、どうにかして健二と二人きりで会う約束を取り付けてください。彼と話して……全ての片がついたら……その時こそキスのその先に進みましょう」