あなたに、キスのその先を。
「……そういえば藤原さん、週末は公園緑地係で歓迎会があったんでしょう?」
階段を昇り始めると、しばらくして高橋さんが何でもないことのようにそう聞いていらして。
「あ、はいっ」
内心ドキッとしながらも、私は平静を装ってそう返した。
(声、震えてなかったでしょうか)
高橋さんは妙に鋭いところのある方だ。何か気付かれてしまったんじゃないかとドキドキしたけれど、歩きながらの会話がよかったのか、息が少し弾んでいたことに助けられて気付かれなかったみたい。
「ちゃんと早く帰してもらえました?」
藤原さんのところ、男性ばかりだから……と兄が妹を心配するような口ぶりで、高橋さんが笑いかけていらして。
私は彼の笑顔がまぶしくて、思わず視線をそらしてしまう。
「……えっと、しゅ…塚田さんがタクシーで送ってくださって……二十三時過ぎには帰宅できました」
これは……嘘ではない。
階段を昇り始めると、しばらくして高橋さんが何でもないことのようにそう聞いていらして。
「あ、はいっ」
内心ドキッとしながらも、私は平静を装ってそう返した。
(声、震えてなかったでしょうか)
高橋さんは妙に鋭いところのある方だ。何か気付かれてしまったんじゃないかとドキドキしたけれど、歩きながらの会話がよかったのか、息が少し弾んでいたことに助けられて気付かれなかったみたい。
「ちゃんと早く帰してもらえました?」
藤原さんのところ、男性ばかりだから……と兄が妹を心配するような口ぶりで、高橋さんが笑いかけていらして。
私は彼の笑顔がまぶしくて、思わず視線をそらしてしまう。
「……えっと、しゅ…塚田さんがタクシーで送ってくださって……二十三時過ぎには帰宅できました」
これは……嘘ではない。