『191ヶ月13日の命』
彼と出会う事が出来たきっかけは日常生活の中にある些細な"距離とタイミング"にありました。

彼と私が通う学校は近くにあり、最寄りの駅からの通学路もほとんど変わらなかったので、通学の行き帰りに顔を合わせる事は不思議な事ではなく、出会うタイミングは沢山あったのかもしれませんが、彼の学校で開催された文化祭に私が友達と遊びに行った時、偶然目の前に居たすごく賑やかなグループの中に1人八重歯を見せ無邪気に笑い楽しそうに話す彼がいました。

その時は何となくですが、私の脳裏にずっと残っていました。

それから何日か経ったある日、学校からの帰路、野球の練習着を身に付け仲間とランニングをする彼の姿を見かけました。
私はすぐに文化祭で見掛けた人だと気付きました。
春や夏に甲子園で行われる高校野球を観に行ったりした事もあり、彼の事を知りたいと思い始め、段々彼の存在が気になっていました。
それから偶然にも何回か帰りが一緒になったりしたのですが、お互い周りに友達も一緒だったので話す機会もなく、日にちだけが過ぎて行きました。

ある日の帰り道、コンビニで目が合った時に初めて話し、連絡を取るようになり、彼を気になっていた私の気持ちは次第に大きく膨らんでいきました。

そして2007年10月20日(土)彼の部活が終わった後、会う約束をして、この日初めて2人で遊びに行きました。

連絡はほぼ毎日取っていましたが、当初は会う事の楽しみよりも緊張のほうが大きく、約束の時間が近付くほど心臓の動きがだんだん早くなり、顔だけが凄く火照っていました。
しかし彼は緊張して喋れなくなった私に色々な話をしてくれ、おかげで気付いた時にはすっかり緊張が無くなっていました。

そして、この日からずっと私の中である曲の歌詞が彼と=(イコール)で結び付ける大切な思い出になったのです。
その思い出とはカラオケで最初に彼が歌ってくれた19(ジューク)の「すべてへ」です。
今でも凄く心に残っていて、この曲を聴くと初めて彼と遊んだあの時の笑顔、あの時の声が自然に浮かんできます。

初めて2人で遊んだその時から、一緒に過ごす時間に安心感を覚え、私の気持ちは彼一直線でした。

その日、家に着いてからもずっとメールのやり取りは続き、それだけでも私は幸せだったのですが

"2007年10月20日 21:40"
「今日から俺の彼女やで!」

この一通の受信メールから私達の恋が始まりました。
< 4 / 17 >

この作品をシェア

pagetop