大瀬良くんはクールな王子様。
「……驚かないのか」



……え?



「何がですか?」



「一姫って呼んだ」



そ、それ……!?



それどころじゃないと思うんだけどっ……。



「た、確かに……なんで名前知ってるのか、気になります」



「今だろ」



えっと……多分今のは、「今気になったんだろ」と言いたかったんだろう。



こんな短時間だけれど、なんだかイケメンさんのことがわかってきた気がする。



「ま、まあ……」



図星をつかれて、そうとしか言えなくなる。



イケメンさんははあ、とため息をついて口を開く。



い、言うの面倒臭いのかなっ……。



「聞いた」



「えっと……誰にですか?」



「……親」



「……?」



親……?



よく意味がわからなくて、首を傾げる。



「だから、お前の親に名前教えてもらったんだ。……わかったか?」



「は、はい……!」



な、なるほど……!



……でも、まだ謎が残っている。



「なんでお風呂で倒れてたことがわかったり……家に入れたりできたんですか……?」



そう、それが最大の謎。



気になっていたことの中で1番規模が大きい。



まあ……恥ずかしさでいったら、裸で運んでもらって、ふ、服を着せてもらったことだけどっ……。



「……親……お前の親から聞いてないのか?」



「えっ、と……?」



「俺んちをここにくっつけること」



イケメンさんの言葉に、私は遠い存在に罪悪感もありながら恨みを買った。



お、お母さん……!!



そういう大事なことは、ちゃんと先に話してよっ……!!
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