俺のボディガードは陰陽師。〜第七幕・悪魔の愛〜
しかし、兄貴も全てにおいて完璧ではないのだな。ようやくここで、初めて知った。
そんなことを考えながらも、俺は課せられた仕事を淡々とこなす。肉を焼くという仕事を。
「伶士、塩胡椒は?したか?」
「したした」
「焦がすなよ?焦がすなよ?」
「わかってるって」
なずなは網の上の肉を心配そうに見つめている。
ったく。ちゃんと監視していればやたらむやみに丸焦げにはならないんだっつーの。
ただ兄貴がお喋りが過ぎるから見るも無惨な状態になるだけで。
しかし、普通に焼いていればなんら平気なことなのに、兄貴の手腕はある意味才能だ。
「焼けたぞ、ほら」
ちゃんと監視していたので、黒焦げにならず肉が焼けた。
トングを使って、良い塩梅に焼けた肉をなずなの皿の上に乗せてやる。
途端に隣から「おおぉぉ!」と雄叫びがあがった。
ったく、叫ぶな。
雄叫びをあげたのち、ヤツは皿の肉をニコニコしながら見つめる。静かに喜んどるわ。
そして、パクッと一口でいった。
「うまぁぁ!これぞ和牛、和牛だ!」
「……」