俺のボディガードは陰陽師。〜第七幕・悪魔の愛〜
……何故、ヤツが肉ひとつに異常に喜んだり怒ったり、執着してるのかというと。
フィリピンに滞在中の一カ月間。肉に飢えていたからだという。
いや、フィリピンに肉が無いわけじゃないが。文化とクォリティの問題らしい。パサパサだの油のってないだの、味付けだの。
取り敢えず、早く日本の肉が食べたかったそうだ。
「……伶士!もっと、もっと焼いてくれ!今度はサガリ!サガリ!」
「わかったわかった」
「やっぱり、なずなは伶士の隣だとご機嫌だね?」
「……違うわぁぁ!バカ兄貴がお肉様を粗末にするから腹が立つんだよ!この罰当たりが!黒焦げ肉は全部おまえが食えよ!」
「あははは。癌になっちゃうねー」
「頼智相手なら癌細胞も逃げるな。伶士、俺にも肉くれ」
「……」
なんなの、なんなのこの人たち。この各自の自由っぷり。全員、B型じゃなかろうか。
……と、まあ、こんなノリで焼肉パーティーは続いていったわけだが。
その様子を遠くから大人たちが意味深な温かい目で見守っていたことは、焼肉に必死な子供らには知る由もない。
「……まさか、私たちの子どもらが、あそこで焼肉するようになるなんてね」
「ああ」