俺のボディガードは陰陽師。〜第七幕・悪魔の愛〜

颯太の一言にハッとさせられる。

そ、そうだ。チカが絡んできたら非常にめんどくさい。根掘り葉掘り聞かれ、時間を取られ……陣内の冷やかしなんてカワイイもんだ。

その時の恐怖とめんどくささを想像すると、無意識に帰り支度の手の動きが速くなる。

「お、俺、チカに捕まる前に行くわ」

「おー。行ってこい行ってこい」




急いだ甲斐もあって、チカに捕まることなく無事に正面玄関を出ることが出来た。

そのまますぐ、一人で地下鉄行きのバスに乗り込む。

座席に座って落ち着くと、ハッと思い出して、すかさずスマホを取り出す。

《今バスに乗った》と、なずなに連絡した。全然落ち着いていない。



落ち着かない、嬉しくてソワソワするの当たり前。

だって、これから会いに行くんだ。

昨日も会ったことは間違いないけど、周りに人がいてゆっくり話も出来なかった。

二人で過ごすのは久しぶりなんだぞ。



手にしたスマホには、返信ともいえるスタンプが映っていた。『了解』だなんて。

……何の変哲もないイラストのスタンプでも、君からのものは、何でも嬉しいわけで。

心が弾んで、顔が緩む。
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