俺のボディガードは陰陽師。〜第七幕・悪魔の愛〜

あれからもう、二ヶ月になる。

黒い翼の彼との長い長い戦いが終わり、おじさんが愛の言葉を残して先に逝ってしまった、あの日から。



二ヶ月……長かったのか、短かったのか。

もう遠い日のように感じてしまう。

かと思えば、昨日のことのような気もして。

戦いが終わった実感も、おじさんがもうこの世にいないという実感もあるのかないのか、よくわからない感じだ。

……まるで、あの日の出来事が、夢だったのかと思えてしまう。



だけど、おじさんの写真がこう飾られているのを見ると……やはりもうおじさんには会えないのかという現実に何となく気付いてしまって。

心の奥が、少しだけキュッと痛む。

でも……。




《伶士。この世の中は、幸せで溢れている。ありあまる程に、ね?》

《それを感じ取ることが出来るかどうかは、自分次第。実はこの世界、人生夢だらけなのだ》



……最期に、夢の中でおじさんと話したことも、嘘じゃなくて。

おじさんを前にして決意を固めたことも、夢じゃなくて。



ここにある今が、現実なんだ。
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