俺のボディガードは陰陽師。〜第七幕・悪魔の愛〜
だが、三度ノック音がする。
その時、ノック音に加えて、なんと。変な声も聞こえたのだ。
『おーい。おーい、なずなぁー』
(えっ!)
はっきりと聞いてしまった。間違いない。女性の声だ。
しかも、なずなの名前を呼んどる……!
人の気配はないのに声がするという、不可思議な現象に軽く狼狽する。
誰がなずなをどこで呼んでるのか、誰かいるならまず服を着なきゃとか、まずどうしたらいいのか。
だが、そんな脳内プチパニでありながらも、コンコンコンコンとノック音が続く。
『あれー。気配はするのにー。なずな、寝てるのかなぁー』
引き続き声もするので、尚更焦る。
どこだ?誰だ?服は……!
自分に落ち着けと言い聞かせながら、警戒して室内をじっくり観察する。
ノック音が相変わらず響く中、その出どころであろう箇所を見つけた。
(……鏡?)
そこは、俺らが寝ているベッドの足元付近。ご丁寧にカバーが掛けられた姿見の方からだった。
『なずなー。なずなー。もー』