俺のボディガードは陰陽師。〜第七幕・悪魔の愛〜

これから誰が来るのかは知らないが、一番早く帰宅した俺たちはその登場を待つカタチとなった。

忠晴にお茶を用意してもらって、取り敢えず今ここにいる俺となずな、母さんでリビングのソファに腰掛け、今までの話の経過を聞く。



「メアリさん、元気だった?」



母さんが訊ねるその一言に、内心ドキッとしてしまう。

メアリ……なずなの母親のことだ。なずなを日本に残して、新しい男とフィリピンへ帰ってしまったという、しばらく顔を合わせることのなかった母親。

10年近くも顔を合わせてなかったのだから、フィリピンに出立する直前、なずなは『母に会うのが怖い』『どんな顔して会えばいいんた』と涙を流して怖気付いていた。

……けど、そんなものは結局杞憂で。



「うん、まあ」



ほうじ茶ラテの入ったグラスの中身をストローでかき混ぜ、カラカラと音を立てる中、なずなは話し出す。

目線がやや俯きがちなのは、照れなのか。




降り立ったマニラの空港には、母とその現在の家族が総出で迎えに来てくれていた。

落ち合うなり、飛び付くように強く抱擁され、喜びと詫びで人目も憚らずに号泣されたらしい。

『ごめん、会いたかった』を繰り返していたという。
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