俺のボディガードは陰陽師。〜第七幕・悪魔の愛〜
十年という長い期間を埋めるには短い。でも、その分家族とはたくさん話をしたそうだ。
各自の近況から、思い出話まで全て。
……亡くなったおじさんの話も。
おじさんに関する報告を受けて……母、メアリは泣き崩れた。
おじさんの名前を呟きながら慟哭するメアリを宥めるように腕に抱くマハムも、まるで自分のことのように一緒に泣いていたようだ。マハム、良い人。
「……仕事柄、いつかこんな最期を迎えるんじゃないかって、ママはずっと思ってたみたい。それが耐えられなくて、ママは親父と別れてマハムと日本を出たんだって。『ごめん』って、ずっと謝ってた」
陰陽師という仕事の宿命を、メアリは理解して受け止めることが出来なかったのだ。
そして、なずなを置いてフィリピンに帰った。
「私も連れてフィリピンに帰りたかったみたいだけど、親父も剣軌もそれを許さなかったって。……まあ、そこはわかってたから、別にいいんだけどさ」
「でも、メアリさんの口から聞けてよかったじゃない?」
「まあ…」
遠く離れた地にいても、なずなのことを想わなかった日は一日もなかった。
事情をわかってはいても、直接告げられるとなずなとしてはやはり嬉しかったようだ。