俺のボディガードは陰陽師。〜第七幕・悪魔の愛〜
乱闘が始まったら、後ろに下がって偉そうに高みの見物していたくせに、ダチとかよく言うよ。
そんな根性悪いくせに、何故か皆んなに崇められている謎の男だ。
「こっ、殺すぞゴルァァァァッ!」
ここ一番のドスの効いたゴルァァを発しながら、シマッピ先輩は駆け出して拳を振り翳してくる。
……何だ。隙だらけじゃねえか。
振り落ちる拳が、この人もへなちょこパンチだ。
この軍団がかつて、なずな一人に殲滅された理由もわかる。ようするに、ただのよく吠える弱い犬らだった。
そんなへなちょこパンチ、今度は掌で堂々と受け止める。
バチン!と重い音がしたが、それまで。大して痛くもない。
「なっ……!」
渾身のパンチ、俺に軽々と受け止められて、あせあせと混惑しているようだ。
……だから。俺も筋肉ムキムキ異世界生物とのバトル経験有りなんだっつーの。
よく吠える弱い犬であるおまえらなんぞ、ピヨピヨのひよっこだ。
掌に収められたシマッピ先輩の拳を、包むように力を入れて、グッと掴んで握る。
「何っ!」と、シマッピ先輩は顔面凶器なりの驚愕ヅラを見せた。
すげえ顔!