俺のボディガードは陰陽師。〜第七幕・悪魔の愛〜
実は……この現場に忠晴が到着していたことには、早い段階から気付いていた。
『まあまあ、こっちに来いよ』と、あのゴルァァ連中に囲まれながら連れて行かれた頃である。
空き地の側に車を停めて、ひっそりと立っていた。この経過を見守るように。
……本当は、忠晴が到着した時点で俺は退かなければならなかった、のだが。
「……随分と遊んでおりましたね?伶士さま」
なずなを連れて忠晴の方へ赴くと、第一声がこれだった。
手筈通りでなかったことに、忠晴から厳しい視線が向けられる。
「うん。……ちょっと」
「ちょっとって何ですか」
鋭く突っ込まれてしまった。
だが、俺はそれを「ははっ」と笑い飛ばしてみる。
「俺も一応、男なんだよ」
「……男?」
俺の意味深な一言に、忠晴の眉毛がピクッと動く。
だが、少しの間を置いた後、「はぁぁ……」と、ため息をつかれた。
「成長した、とはあまり褒めたくありませんが」
「うん。ごめんね」
忠晴にはわかっていただろう。
俺がとてもつまらない意地を張って、ケンカを買ったり、売り返したりしたことを。