俺のボディガードは陰陽師。〜第七幕・悪魔の愛〜
幼なじみとはいえ、歳上の兄貴に対する物怖じしない瞳真くんの態度も凄いなと思うが、そんな歳上二人に物怖じどころか怒鳴り散らすなずなは、お見事としか言いようがない。
肉に対する執着も増して半端ない。
その黒焦げになった可哀想なお肉に、哀れみの視線を送るその姿は、我が彼女ながら、なんともコメントし難い……。
そして、ヤツはもう我慢の限界となるのだ。
「……ちいぃぃっ!使えねえな、このバカ兄貴!……伶士、代われ!恐らくおまえがこの中で一番マシだ!」
「へ?俺?」
「そうだ!おまえなら少なくとも肉にこんな哀しい末路を辿らせないだろ!」
目を釣り上げたままの怒りの形相で俺に訴えている。
一番マシ。あー、そうですか……。『一番信用できる』っていう台詞に都合よく変換してもいいですか。
そんな複雑な心境になる要請を受けて、首を傾げながらも兄貴から焼肉トングを受け取る。
俺にあっさりとトングを渡すなり、兄貴は久々に会った瞳真くんとのお喋りが止まらなかった。
……出来ないなら出来ないってさっさとこっちに寄越してくれればよかったのに。肉焦がしてなずなに怒られる前にさ。