私のおさげをほどかないで!
「かっ……、奏芽さんの、バカ……っ」
視線をそらしながら小さくつぶやくように吐き出したらクスクス笑われた。
「なぁ凜子。耳まで真っ赤になってんぞ? それってさ、俺のこと少しは意識してくれてるってこと?」
そこで耳元に唇を寄せられて、低めた声で耳朶に吹き込むように
「……少しは脈ありだと思っていいか?」
と問いかけられる。
元々低音でゾクゾクするような声質の奏芽さんが、意図的に声のトーンを落とすと本当に鳥肌が立つようないい声になる。
この声でなら私、「焼き芋」とか全く萌えないような単語を言われても、照れてしまえる気がするの。
ましてや告げられた言葉が私の心を揺さぶるような内容となるとその効果は絶大で。
脈あり――。
そういえばのぶちゃんにも同じことを言われたんだった。
“ねぇ凜ちゃん、僕は……それを少しは脈があるかもって期待してしまってもいいんだろうか?”
あの夜ののぶちゃんの声が不意に脳裏に蘇ってきて、ソワソワと落ち着かない気持ちになる。
あの時、私は何て応えたらよかったんだろう。
即座に「うん」って肯定できなかった時点で、自分の中の答えは出ていたんだと、今ならハッキリ分かる。
同じ言葉を言われたのに、奏芽さんに言われたそれには戸惑う気持ちはなくて。
視線をそらしながら小さくつぶやくように吐き出したらクスクス笑われた。
「なぁ凜子。耳まで真っ赤になってんぞ? それってさ、俺のこと少しは意識してくれてるってこと?」
そこで耳元に唇を寄せられて、低めた声で耳朶に吹き込むように
「……少しは脈ありだと思っていいか?」
と問いかけられる。
元々低音でゾクゾクするような声質の奏芽さんが、意図的に声のトーンを落とすと本当に鳥肌が立つようないい声になる。
この声でなら私、「焼き芋」とか全く萌えないような単語を言われても、照れてしまえる気がするの。
ましてや告げられた言葉が私の心を揺さぶるような内容となるとその効果は絶大で。
脈あり――。
そういえばのぶちゃんにも同じことを言われたんだった。
“ねぇ凜ちゃん、僕は……それを少しは脈があるかもって期待してしまってもいいんだろうか?”
あの夜ののぶちゃんの声が不意に脳裏に蘇ってきて、ソワソワと落ち着かない気持ちになる。
あの時、私は何て応えたらよかったんだろう。
即座に「うん」って肯定できなかった時点で、自分の中の答えは出ていたんだと、今ならハッキリ分かる。
同じ言葉を言われたのに、奏芽さんに言われたそれには戸惑う気持ちはなくて。