私のおさげをほどかないで!
「――べっ、別に怒ってませんっ」

 唇を噛み締めてそう吐き出したら、悔しさのせいかもっともっと視界が霞んで。
 そんな私に、「そっか」って何もかもお見通しみたいに奏芽(かなめ)さんがうなずくの。

 そこで信号が青になって、奏芽さんの手が呆気なく私から離れる。

 その瞬間、思わず「待って」って思ってしまって、私はそれが恥ずかしくて唇を噛み締めた。

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