私のおさげをほどかないで!
あまみや
ぱっと見、日本家屋の民家と見まごうような建物横の小道を、奏芽さんの後について歩く。
車は、この近くのコインパーキングに停めてある。
車から降りてこっち、手を繋ぐでも腕を組むでもなく、だからと言ってそんなに距離を空けるわけでもなく、奏芽さんの半歩後ろを陣取らせて頂いていて。
恋人になれたなら、あの大きな手を握ってもいいのかな?
ひとりそんなことを考えてソワソワする。
「凜子、俺、歩くの、早い?」
私が彼の横に並ばなかったからかな?
奏芽さんが不意に立ち止まって、気遣わしげにこちらを見つめてきた。
「――手、繋ぐ?って聞いても首、横に振るんだろうな」
困ったように笑う奏芽さんに、私はどうしたらいいのか分からなくて戸惑う。
「ご、ごめんなさい……」
ややして消え入りそうな声音でそう謝罪したら、「いや、そういうところも含めて凜子らしくて好ましいと思うし、正直今まで味わったことのねぇ新鮮な反応で、俺も色々勉強になってるよ」
こっちこそ、年上のくせに上手くエスコート出来なくて悪いなと付け加える奏芽さんが、何だかすごく初々しく見えてときめかされる。
チャラ男だと思っていたのに、案外彼は繊細なところがあるみたいで。
今なんかも、何も言わずに手を握られても彼らしいと思っただろうに、実際には私の意思を尊重してくれた。
人は見た目で判断したらダメなんだ、と改めて痛感させられる。
車は、この近くのコインパーキングに停めてある。
車から降りてこっち、手を繋ぐでも腕を組むでもなく、だからと言ってそんなに距離を空けるわけでもなく、奏芽さんの半歩後ろを陣取らせて頂いていて。
恋人になれたなら、あの大きな手を握ってもいいのかな?
ひとりそんなことを考えてソワソワする。
「凜子、俺、歩くの、早い?」
私が彼の横に並ばなかったからかな?
奏芽さんが不意に立ち止まって、気遣わしげにこちらを見つめてきた。
「――手、繋ぐ?って聞いても首、横に振るんだろうな」
困ったように笑う奏芽さんに、私はどうしたらいいのか分からなくて戸惑う。
「ご、ごめんなさい……」
ややして消え入りそうな声音でそう謝罪したら、「いや、そういうところも含めて凜子らしくて好ましいと思うし、正直今まで味わったことのねぇ新鮮な反応で、俺も色々勉強になってるよ」
こっちこそ、年上のくせに上手くエスコート出来なくて悪いなと付け加える奏芽さんが、何だかすごく初々しく見えてときめかされる。
チャラ男だと思っていたのに、案外彼は繊細なところがあるみたいで。
今なんかも、何も言わずに手を握られても彼らしいと思っただろうに、実際には私の意思を尊重してくれた。
人は見た目で判断したらダメなんだ、と改めて痛感させられる。