私のおさげをほどかないで!
「すまん」

 所在なげに小さく謝ってから、もう一度よく通る低音ボイスで「似てるって言っても、マジで髪型だけだから」って繰り返して――。

「でも……〝そこは〟似てる……んです、よね?」

 髪型だけだとしても。

 やっぱりそうなんだって思ったら、何となく胸の奥がギュッと苦しくなって、奏芽(かなめ)さんをまともに見ることが出来なくなる。

 妹扱いは嫌なのに――。


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