私のおさげをほどかないで!
***
コール数回で『もしもし』という優しい声が聞こえてきた。
小さい頃から聞き慣れているはずののぶちゃんの声なのに、何故かすごく緊張してしまって、言葉に詰まってしまう。
「――っ、」
掛けたくせに何て話し始めたらいいのか迷ってしまって、なかなか言葉にならなくて。
『――凜ちゃん? どうしたの?』
のぶちゃんに促されるように先を急かされて、私は手にしたスマホをギュッと握りしめた。
「あ、あのね……。その、のぶちゃんが大丈夫な時で構わないんだけど……えっと、じ、時間を……少し取ってもらえたら嬉しいなぁって」
恥ずかしいぐらいしどろもどろになりながら何とかそう切り出したら、電話口で一瞬息を呑むような気配があった。
『――ねぇ凜ちゃん。……2人きりで僕と会って、平気なの?』
ややして静かな声音で問いかけられた言葉に、私は戸惑ってしまった。
『それとも、あの時の彼も……一緒?』
何でそんなこと言うんだろう。意地悪。
「ち、違っ、奏芽さんは……いないよ?」
思わず奏芽さんの名を出して、彼は一緒じゃないと告げてしまってから、自分がかなり動揺しているのを感じた。
いつも「会いたい」って言ったら、「分かった」って何も言わずに返してくれていたのぶちゃんが、変な反応するから。
責任転嫁するみたいにそう考えてから、当たり前だ、と思う。
だってのぶちゃんは、私に「好きだ」って伝えてくれたんだもん。
今までと同じように接してくれるって思う方がおかしいんだ。
でも……電話やメールで一方的な言葉を投げつけるのは何か違う気がして――。
私の中の「生真面目」が、こんなところでも顔を出す。
コール数回で『もしもし』という優しい声が聞こえてきた。
小さい頃から聞き慣れているはずののぶちゃんの声なのに、何故かすごく緊張してしまって、言葉に詰まってしまう。
「――っ、」
掛けたくせに何て話し始めたらいいのか迷ってしまって、なかなか言葉にならなくて。
『――凜ちゃん? どうしたの?』
のぶちゃんに促されるように先を急かされて、私は手にしたスマホをギュッと握りしめた。
「あ、あのね……。その、のぶちゃんが大丈夫な時で構わないんだけど……えっと、じ、時間を……少し取ってもらえたら嬉しいなぁって」
恥ずかしいぐらいしどろもどろになりながら何とかそう切り出したら、電話口で一瞬息を呑むような気配があった。
『――ねぇ凜ちゃん。……2人きりで僕と会って、平気なの?』
ややして静かな声音で問いかけられた言葉に、私は戸惑ってしまった。
『それとも、あの時の彼も……一緒?』
何でそんなこと言うんだろう。意地悪。
「ち、違っ、奏芽さんは……いないよ?」
思わず奏芽さんの名を出して、彼は一緒じゃないと告げてしまってから、自分がかなり動揺しているのを感じた。
いつも「会いたい」って言ったら、「分かった」って何も言わずに返してくれていたのぶちゃんが、変な反応するから。
責任転嫁するみたいにそう考えてから、当たり前だ、と思う。
だってのぶちゃんは、私に「好きだ」って伝えてくれたんだもん。
今までと同じように接してくれるって思う方がおかしいんだ。
でも……電話やメールで一方的な言葉を投げつけるのは何か違う気がして――。
私の中の「生真面目」が、こんなところでも顔を出す。