私のおさげをほどかないで!
「何だよそれ……」
なのに。背後からの不満たらたらな声に、言わないといつまでもしつこそうだなって思い直した私は、振り返らないままに「そう、前話した電話の人! 私の初恋の人です。奏芽さんも会ったことあるでしょ!?」って答えた。
ゴム返すとか何とか言って私とのぶちゃんの間に割り込んできたじゃない。
結局色々あってゴムは返してもらってないけど……。
でもそのせいで私、色々悩んだのよ?
これで満足ですか?
ちゃんと答えたんだからもういい加減解放してください。
そう続けようとしたら、後ろから包み込むようにギュッと抱きしめられて、思わず言葉に詰まった。
えっ。
ちょっ、な、なにっ。
奏芽さんの長めの髪が頬をかすめた途端、ふわりと彼が使っているらしいシャンプーの香りが鼻先をくすぐって、それが妙に心をざわつかせた。
てっきり如何にも香水ですっていうマリン系の香りとかそういうのがこの人には似合うと勝手に思っていたのに、まさかの柑橘系の香り。そのギャップにもドキッとさせられてしまう。
なのに。背後からの不満たらたらな声に、言わないといつまでもしつこそうだなって思い直した私は、振り返らないままに「そう、前話した電話の人! 私の初恋の人です。奏芽さんも会ったことあるでしょ!?」って答えた。
ゴム返すとか何とか言って私とのぶちゃんの間に割り込んできたじゃない。
結局色々あってゴムは返してもらってないけど……。
でもそのせいで私、色々悩んだのよ?
これで満足ですか?
ちゃんと答えたんだからもういい加減解放してください。
そう続けようとしたら、後ろから包み込むようにギュッと抱きしめられて、思わず言葉に詰まった。
えっ。
ちょっ、な、なにっ。
奏芽さんの長めの髪が頬をかすめた途端、ふわりと彼が使っているらしいシャンプーの香りが鼻先をくすぐって、それが妙に心をざわつかせた。
てっきり如何にも香水ですっていうマリン系の香りとかそういうのがこの人には似合うと勝手に思っていたのに、まさかの柑橘系の香り。そのギャップにもドキッとさせられてしまう。