私のおさげをほどかないで!
 それにしても。

 屋内にいても足元が冷える気がするのは、私が生粋(きっすい)の寒がりだから、かな。

 今日の四季(しき)ちゃんはセーターの下にミニスカート。それにタイツを合わせて、くるぶしなんてむき出しのブーティーという結構寒そうな格好で。なのに平気そうなのがすごいなって思った。

 逆に私はというと、タートルネックにもこもこセーターを重ねて、くるぶしまでのロングスカートにムートンのハイカットスニーカーという出で立ち。それなのに寒くて堪らないとか、ちょっぴり情けない。

 ポケットに忍ばせた携帯カイロをモミモミしながら四季ちゃんを見つめたら、
「何それ、かなり気持ち悪いんだけど!」
 話し終えるなり、四季ちゃんが物凄く怖い顔をして私を見つめてきた。

「えっ」
 その剣幕に気圧(けお)されて、ポケットの中のカイロをギュッと握りしめたら、「もちろん、彼氏には話してるんだよね?」と畳み掛けられる。

「あ、えっと……、実は、まだ……」
 言えてなくて……とゴニョゴニョ口籠(くちごも)ったら、「ちょっ、マジ!? 信じられない! 今すぐ電話して!」って怖い顔をされてしまった。

「あ、あのっ、でも奏芽(かなめ)さん、まだ診察中かも……」

 時刻は正午を30分ばかり過ぎたところ。
 まだ午前の診察が押している可能性が高い時間帯だ。

「はぁ!? そんな悠長に構えてる場合じゃないってば! 何かあってからじゃ遅いのよ!? 転ばぬ先の杖って言葉、知らないわけじゃないでしょう!?」

 四季ちゃんにしてはやけに渋い物言いをして、私を睨みつけてくる。

「な、何かって……」
 思わず言って、ここ数日のあれこれを思い出した私は、思わずゾクリとする。
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