私のおさげをほどかないで!
「ほら! 凜子ちゃんだって何か思うところがあるから今、そんな不安そうな顔になったんでしょ? 勘って侮れないよ?」
言って、自分の鞄からスマホを取り出すと、ササッと操作して「彼氏の勤務先、ここ?」と聞いてくる。
画面に“鳥飼小児科医院”と表示されているのを見て、「あ、うん」と思わずうなずいたら、四季ちゃんのスマホからピッ!という電子音が響いた。
「……四季ちゃん?」
その音に驚いて彼女の方を見たら、スマホを耳に当てていて。
「もしもし。……ええ。もちろん、午前の診察受付が終わってるのは知ってます! それとは別件で、個人的に鳥飼先生に緊急の用件なんです! え? 先生の携帯ですか? そっち、繋がらないしメールじゃ遅いからこっちにかけてるんですよ! お願いします。大事な用件なんですっ! 変わってください!」
とか。
ちょ、ちょっと待って、四季ちゃん、その電話先っ!
「え!? 2人? あの、30代ぐらいの男性のほう! そう! ――え? 若先生? 条件に当てはまるのがその若先生とやらなら、そっちの先生だと! ……私ですか? 片山……じゃなくて向井凜子です!」
矢継ぎ早にまくし立てる四季ちゃんに、私はオロオロとなす術もなくて。
しかも今、私の名前……名乗っ――!?
気持ちは焦るのに、電話中に横から声をかけて割り込んだりしたら、電話先の相手にも失礼になるかもしれないって思ったら、身動きが取れなかった。
こういうところでも自分の真面目さが、迅速な行動を阻害しちゃうとか……本当情けない。
言って、自分の鞄からスマホを取り出すと、ササッと操作して「彼氏の勤務先、ここ?」と聞いてくる。
画面に“鳥飼小児科医院”と表示されているのを見て、「あ、うん」と思わずうなずいたら、四季ちゃんのスマホからピッ!という電子音が響いた。
「……四季ちゃん?」
その音に驚いて彼女の方を見たら、スマホを耳に当てていて。
「もしもし。……ええ。もちろん、午前の診察受付が終わってるのは知ってます! それとは別件で、個人的に鳥飼先生に緊急の用件なんです! え? 先生の携帯ですか? そっち、繋がらないしメールじゃ遅いからこっちにかけてるんですよ! お願いします。大事な用件なんですっ! 変わってください!」
とか。
ちょ、ちょっと待って、四季ちゃん、その電話先っ!
「え!? 2人? あの、30代ぐらいの男性のほう! そう! ――え? 若先生? 条件に当てはまるのがその若先生とやらなら、そっちの先生だと! ……私ですか? 片山……じゃなくて向井凜子です!」
矢継ぎ早にまくし立てる四季ちゃんに、私はオロオロとなす術もなくて。
しかも今、私の名前……名乗っ――!?
気持ちは焦るのに、電話中に横から声をかけて割り込んだりしたら、電話先の相手にも失礼になるかもしれないって思ったら、身動きが取れなかった。
こういうところでも自分の真面目さが、迅速な行動を阻害しちゃうとか……本当情けない。