私のおさげをほどかないで!
「え……?」

「だぁーかぁーらぁー。俺も! 乗るの! 凜子とドライブ、ブッブッブー♪」
 って……やけに楽しそうに言うんだけど……本気?

「けど私っ、そんなことしてもらってもあなたの――」
「あなた?」
 いつもの癖で「あなた」って言いかけたら、すぐさまダメ出しが入った。

「……えっと、か、奏芽(かなめ)さんの……相手なんてする暇ないですよ? さっきもお話したように、講義に出たいから急いでるわけで……」

 ゴニョゴニョと語尾が濁ったのは、それでも彼の申し出に少しだけ心を動かされてしまっていたから。

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