私のおさげをほどかないで!
「パパとママがいつまでもあんな感じなのはね、奏芽のお陰なのよ」
私の視線に気づいたのかな。
和音ちゃんが小声でささやいてきた。
その声に「え?」と小さく声を上げたら「ほら、お姉さんも見たでしょう? 私が奏芽と一緒にいたの」って言ってきて。
すでに走り出した車内。エンジン音に紛れて和音ちゃんの声はきっと隣に座っている私にしかはっきりと聞き取れていないはず。
行き先は告げていないけれど、聞かれなかったところを見ると奏芽さんから何か指示が出ているのかな?
そんな風に思う私の横、和音ちゃんがそう言って。
私はいつかのぶちゃんと一緒に行ったお寿司屋さんで、奏芽さんの足元にしがみついていた和音ちゃんのことを思い出す。
あの時は和音ちゃんを奏芽さんのお嬢さんだと思って、モヤモヤしたんだった。
「ああいういの、私が生まれた時からずっと毎月欠かさずなんだって」
和音ちゃんの言葉に、私は驚いて瞳を見開く。
「パパとママにせめて月に1回ぐらいは恋人に戻れる時間を作ってあげたいっていう奏芽の優しさよ」
言われて、私は奏芽さんのおふたりへの愛情の深さを垣間見た気がして。
私には絶対入り込めない絆みたいなものを感じて少し寂しくなる。
「和音ちゃんは……寂しかったりしないの?」
自分が寂しいものだから、思わずそう聞いてしまってから、愚問だったと思ったの。だって和音ちゃん、奏芽さんのこと大好きだもの。
大好きな人と一緒にいられる時間が寂しいものであるわけがない。
そう思ったんだけど。
私の視線に気づいたのかな。
和音ちゃんが小声でささやいてきた。
その声に「え?」と小さく声を上げたら「ほら、お姉さんも見たでしょう? 私が奏芽と一緒にいたの」って言ってきて。
すでに走り出した車内。エンジン音に紛れて和音ちゃんの声はきっと隣に座っている私にしかはっきりと聞き取れていないはず。
行き先は告げていないけれど、聞かれなかったところを見ると奏芽さんから何か指示が出ているのかな?
そんな風に思う私の横、和音ちゃんがそう言って。
私はいつかのぶちゃんと一緒に行ったお寿司屋さんで、奏芽さんの足元にしがみついていた和音ちゃんのことを思い出す。
あの時は和音ちゃんを奏芽さんのお嬢さんだと思って、モヤモヤしたんだった。
「ああいういの、私が生まれた時からずっと毎月欠かさずなんだって」
和音ちゃんの言葉に、私は驚いて瞳を見開く。
「パパとママにせめて月に1回ぐらいは恋人に戻れる時間を作ってあげたいっていう奏芽の優しさよ」
言われて、私は奏芽さんのおふたりへの愛情の深さを垣間見た気がして。
私には絶対入り込めない絆みたいなものを感じて少し寂しくなる。
「和音ちゃんは……寂しかったりしないの?」
自分が寂しいものだから、思わずそう聞いてしまってから、愚問だったと思ったの。だって和音ちゃん、奏芽さんのこと大好きだもの。
大好きな人と一緒にいられる時間が寂しいものであるわけがない。
そう思ったんだけど。