私のおさげをほどかないで!
絞り出すようなその声が切なくて苦しくて。
私、大好きな奏芽さんにこんな声を出させてしまうことの方が、自分が昼間に感じた恐怖より数倍辛く感じられた。
「だっ、大丈夫です。夕方も霧島さんご家族にここまで送っていただきましたし、バイト中も谷本くんがずっと気遣ってくれて1人にはなりませんでした」
努めて明るい声音でそう答えたら、奏芽さんが、
「ずっと付いててやれなくてごめんな」
って言うの。
私は彼の言葉に正直驚いてしまった。
「そ、そんなの当たり前じゃないですか。奏芽さんには奏芽さんの生活があるんですから」
これは本当の話。
だってそうでしょう?
私のために、もし奏芽さんがお仕事に穴とか開けてしまったら、彼のことを頼りにしている子供達が困ってしまうもの。
「――それでも! ……俺、好きな女も自分で守れないってのがさ、すげぇ嫌なんだよ」
いつになく奏芽さんが弱気な気がして。
耳元でつぶやかれた声が、私の胸をギュッと締め付けてくる。
私、大好きな奏芽さんにこんな声を出させてしまうことの方が、自分が昼間に感じた恐怖より数倍辛く感じられた。
「だっ、大丈夫です。夕方も霧島さんご家族にここまで送っていただきましたし、バイト中も谷本くんがずっと気遣ってくれて1人にはなりませんでした」
努めて明るい声音でそう答えたら、奏芽さんが、
「ずっと付いててやれなくてごめんな」
って言うの。
私は彼の言葉に正直驚いてしまった。
「そ、そんなの当たり前じゃないですか。奏芽さんには奏芽さんの生活があるんですから」
これは本当の話。
だってそうでしょう?
私のために、もし奏芽さんがお仕事に穴とか開けてしまったら、彼のことを頼りにしている子供達が困ってしまうもの。
「――それでも! ……俺、好きな女も自分で守れないってのがさ、すげぇ嫌なんだよ」
いつになく奏芽さんが弱気な気がして。
耳元でつぶやかれた声が、私の胸をギュッと締め付けてくる。