私のおさげをほどかないで!
「そう言や、これ見た時、凜子(りんこ)っぽいなって思ったんだよな、俺」

 クスクス笑う奏芽(かなめ)さんに、「私もその鋭い目つきのキツネアイコン、奏芽さんっぽいなって思いました」って、思わず本音がポロリ。

 2人で顔を見合わせて「似た者同士」って笑ってしまった。

 奏芽さんなら顔写真のアイコンでも素敵だと思うんだけどな。
 ふとそんなふうに思って、奏芽さんの横顔を見つめて、「でもやっぱり」と思う。
 私のそんな視線に気付いた奏芽さんがこちらを見て、「凜子なら顔写真でも可愛いと思うんだけどな?」って。

 何で同じこと考えるんですかっ。

 言われた言葉が照れ臭くて思わずうつむいたら、「あー、けど俺の可愛い凜子の顔、不特定多数のやつに見られんのはやっぱ()だわ」とか。

 実は私も奏芽さんのかっこいい顔、みんなに見られるのは嫌だって思ってしまってました。

 つくづく私たちは似た者同士みたいです。

 とにもかくにも。
 これでお互いの位置情報が確認できるようになりました。

「奏芽さん、色々気遣ってくださってありがとうございます」

 スマホをギュッと握りしめてそう言ったら、「お、おう」って視線を微妙に外されて答えられた。
 こういう時の奏芽さんは照れているの。

 私は普段は自信たっぷりの奏芽さんが時折見せて下さる、こういうギャップがすごく好き。
 本人に言うと「バーカ」っておさげを引っ張られてしまうけど、本音です。
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