私のおさげをほどかないで!
***
「そう言えば自己紹介がまだだったね」
僕の方は向井さんがあのコンビニに勤め始めたときからずっと見てきたからよく見知った間柄のつもりだったんだけど――。
玄関の引き戸を開けて中に入るなり私の荷物を上がりかまちのところに半ば放るように置いて、横抱きに抱き上げられた。
足の痺れのせいで片側はほぼ感覚がないけれど、無事な側は膝裏に入れられた男の手の感触を嫌というほど感じてしまう。
奏芽さん以外の人にこんなことをされるのはすごく気持ち悪くて。
必然的に近くなったその男の顔から逃れるように、私はうつむいた。
下ろして欲しいという言葉は膝裏に当たるのが例のスタンガンだと分かっているためか、喉元に引っかかって声にならなくて。
「そう言えば自己紹介がまだだったね」
僕の方は向井さんがあのコンビニに勤め始めたときからずっと見てきたからよく見知った間柄のつもりだったんだけど――。
玄関の引き戸を開けて中に入るなり私の荷物を上がりかまちのところに半ば放るように置いて、横抱きに抱き上げられた。
足の痺れのせいで片側はほぼ感覚がないけれど、無事な側は膝裏に入れられた男の手の感触を嫌というほど感じてしまう。
奏芽さん以外の人にこんなことをされるのはすごく気持ち悪くて。
必然的に近くなったその男の顔から逃れるように、私はうつむいた。
下ろして欲しいという言葉は膝裏に当たるのが例のスタンガンだと分かっているためか、喉元に引っかかって声にならなくて。