私のおさげをほどかないで!
胸騒ぎ
※奏芽視点です。
【side:Kaname Torikai】
いつもなら「大学に着きました」とメッセージが入ってもいい頃になっても、凜子からの連絡がない。
朝、「行ってきます」の連絡はいつも通りの時間にあったのに、だ。
朝礼の時刻――8時45分まであと5分。
スタッフみんな第一診察室に集まっている頃だと思う。
当然、俺も行かないといけないんだが。
妙な胸騒ぎに突き動かされて、俺はスマホを握りしめる。
とりあえず、と凜子の携帯に掛けてみたけれど、電源が落とされているのか、圏外に出てしまっているのか、繋がらなかった。
たまたまか?
普段公共の交通機関を利用する凜子は、それらに乗るときは、必ず携帯をマナーモードにしている。もっと言えば、大学構内にいるときもそう。
真面目な子だから、それは絶対だ。
でも、電源を切ったりはしていなかったはずだ。
前にGPSでお互いの居場所が分かるアプリを入れたけれど、あれにしたって相手先の電源が落とされていては使い物にならない。
一応確認のためにアプリを立ち上げてみたら、凜子を現す「泣きべそウサギ」のアイコンは数分前にある地点でロストした表示になっていた。
「くそッ」
思わず舌打ちが漏れて――。
俺は携帯を握りしめたまましばし逡巡する。
いつもなら「大学に着きました」とメッセージが入ってもいい頃になっても、凜子からの連絡がない。
朝、「行ってきます」の連絡はいつも通りの時間にあったのに、だ。
朝礼の時刻――8時45分まであと5分。
スタッフみんな第一診察室に集まっている頃だと思う。
当然、俺も行かないといけないんだが。
妙な胸騒ぎに突き動かされて、俺はスマホを握りしめる。
とりあえず、と凜子の携帯に掛けてみたけれど、電源が落とされているのか、圏外に出てしまっているのか、繋がらなかった。
たまたまか?
普段公共の交通機関を利用する凜子は、それらに乗るときは、必ず携帯をマナーモードにしている。もっと言えば、大学構内にいるときもそう。
真面目な子だから、それは絶対だ。
でも、電源を切ったりはしていなかったはずだ。
前にGPSでお互いの居場所が分かるアプリを入れたけれど、あれにしたって相手先の電源が落とされていては使い物にならない。
一応確認のためにアプリを立ち上げてみたら、凜子を現す「泣きべそウサギ」のアイコンは数分前にある地点でロストした表示になっていた。
「くそッ」
思わず舌打ちが漏れて――。
俺は携帯を握りしめたまましばし逡巡する。