私のおさげをほどかないで!
***
前に病院へ掛かってきた凜子の友人――片山さんの携帯番号は、登録こそしていないが記憶している。
基本的に一度見聞きしたものはそう簡単には忘れないんだが、それを今日ほどありがたく思ったことはない。
俺は少し考えて、片山さんに電話してみることにした。
知らない携帯番号からいきなり掛かってきたら、警戒されるかもしれねぇな。
そう思った俺は、病院の電話からかけることにした。
固定電話の番号なら、市外局番が通知されて市内だと分かるだろうし、市内からの着信なら出てくれる確率が格段に上がる気がしたからだ。
数コール目で「……もしもし?」と少し怪訝そうな声が応じてくれる。
そのことにホッとして、
「――片山さん? ……鳥飼なんだけど。朝早くから申し訳ない」
はやる気持ちを抑えながら、無難な挨拶から。
そう思った俺に、
「あぁ、鳥飼さん! ――あの、凜子ちゃん、今日はお休みですか? あ! もしかして自分で連絡してこられないくらい体調悪いとかっ!?」
凜子、来てる?と聞くつもりが、片山さんの方から畳み掛けるようにそう聞かれてしまった。
これって……凜子は大学に行ってないってことだよな?
時計を見ると、45分まであと2分。
大学の講義、1時間目は9時からだったはずだ。
前に病院へ掛かってきた凜子の友人――片山さんの携帯番号は、登録こそしていないが記憶している。
基本的に一度見聞きしたものはそう簡単には忘れないんだが、それを今日ほどありがたく思ったことはない。
俺は少し考えて、片山さんに電話してみることにした。
知らない携帯番号からいきなり掛かってきたら、警戒されるかもしれねぇな。
そう思った俺は、病院の電話からかけることにした。
固定電話の番号なら、市外局番が通知されて市内だと分かるだろうし、市内からの着信なら出てくれる確率が格段に上がる気がしたからだ。
数コール目で「……もしもし?」と少し怪訝そうな声が応じてくれる。
そのことにホッとして、
「――片山さん? ……鳥飼なんだけど。朝早くから申し訳ない」
はやる気持ちを抑えながら、無難な挨拶から。
そう思った俺に、
「あぁ、鳥飼さん! ――あの、凜子ちゃん、今日はお休みですか? あ! もしかして自分で連絡してこられないくらい体調悪いとかっ!?」
凜子、来てる?と聞くつもりが、片山さんの方から畳み掛けるようにそう聞かれてしまった。
これって……凜子は大学に行ってないってことだよな?
時計を見ると、45分まであと2分。
大学の講義、1時間目は9時からだったはずだ。