私のおさげをほどかないで!
そう言えば男を殴った奏芽さんの手、どうにかなっていやしないかと気になって見せていただいたけれど、幸い何ともなっていなくてホッとしたの。
私にはよく分からないけれど、うまく?殴れば例え素手でも怪我をしたりすることは少ないみたい。
とは言え――。
「無茶しないでください。ピアノ、弾けなくなったらどうするんですか……」
彼の手に触れながらそう言って眉根を寄せたら、「凜子に言われたくねぇよ」と睨まれてしまった。
奏芽さん、私が目の前で男に反撃したこと、怒っていらっしゃるみたい。
「あの……あれは確かに無謀でした。結局そのせいで奏芽さんにも……その……、人を殴らせてしまいましたし。……心配をかけてごめんなさい。――反省してます……」
私を抱き止めて下さったときの奏芽さんの身体の震えを、はっきり覚えてる。
あれは本当に私のことを心配してくださった結果だと思う。
そう思って素直に謝ったら、小さく吐息を漏らされた。
「……俺は別にピアニストじゃねぇからな。最悪ピアノなんて弾けなくなったって構わねぇんだよ。けど――」
目の前で凜子にあんなことされた方が正直堪えた、ってつぶやいて。
私の頬へ、壊れものを扱うみたいにそっと触れるの。
「そういうところも含めて俺の惚れた凜子らしいなって思ったけどな。でも……頼むからあまり心配かけてくれるな」
私、実は頬も少し赤くなっていて。それはあの男にギュッと掴まれたからなんだけど、こんな風に奏芽さんに触れられるのはちっとも痛くない。ばかりか、むしろ心地よくて。
奏芽さんは赤くなった部位を気遣うように、固く搾ったタオルを優しく当ててくださる。
私にはよく分からないけれど、うまく?殴れば例え素手でも怪我をしたりすることは少ないみたい。
とは言え――。
「無茶しないでください。ピアノ、弾けなくなったらどうするんですか……」
彼の手に触れながらそう言って眉根を寄せたら、「凜子に言われたくねぇよ」と睨まれてしまった。
奏芽さん、私が目の前で男に反撃したこと、怒っていらっしゃるみたい。
「あの……あれは確かに無謀でした。結局そのせいで奏芽さんにも……その……、人を殴らせてしまいましたし。……心配をかけてごめんなさい。――反省してます……」
私を抱き止めて下さったときの奏芽さんの身体の震えを、はっきり覚えてる。
あれは本当に私のことを心配してくださった結果だと思う。
そう思って素直に謝ったら、小さく吐息を漏らされた。
「……俺は別にピアニストじゃねぇからな。最悪ピアノなんて弾けなくなったって構わねぇんだよ。けど――」
目の前で凜子にあんなことされた方が正直堪えた、ってつぶやいて。
私の頬へ、壊れものを扱うみたいにそっと触れるの。
「そういうところも含めて俺の惚れた凜子らしいなって思ったけどな。でも……頼むからあまり心配かけてくれるな」
私、実は頬も少し赤くなっていて。それはあの男にギュッと掴まれたからなんだけど、こんな風に奏芽さんに触れられるのはちっとも痛くない。ばかりか、むしろ心地よくて。
奏芽さんは赤くなった部位を気遣うように、固く搾ったタオルを優しく当ててくださる。