私のおさげをほどかないで!
ひとりになれない
 私を監禁した男――金里(かねさと)明真(あすま) は、過去にも同じようなことを起こして捕まったことがあって、前回はそれでも相手が怪我をしていなかったから罪の割に比較的早く出られたらしい。
 でも、今回は被害者(わたし)が怪我を負っていること、再犯であることから考えてみても、最低でも数年の実刑は免れないだろうとのことだった。

 私は正直あの男がどうなろうと、それこそどこかに拘束されていてくれるならば関係はないって思ったの。
 でも……罪を償って?釈放された時を思うと怖くて。

 それがなくても、あの男以外にも同じようなことをする人間が他にいないとも限らないって思ったら、見知らぬ男性がすごく怖くなってしまった。

 あのことがあって以来、私、ひとりになるのが本当に苦手になって……バイトにも行けなくなったし、もっと言うとアパートにもまともに帰れていない。

 それでどこにいるのかと言うと――。

***

 2月初旬起きたあの監禁からおよそ1ヶ月半。
 あと数週間もすれば4月で、私はいま進級前の春休みの真っ只中。

 1月半ば辺りから春休みに入る大学が多い中、うちの大学は2月半ばまで授業があって、その分春休みはよそより短めで逆に夏休みが少し長い。
 それにしてもひと月半はお休みなので、その休暇を利用して少し実家に戻ろうかなって思っていたんだけど。

 電車にひとりで乗り込むのが怖くて断念したの。

***

 あれから私、結局奏芽(かなめ)さんのご厚意に甘えて彼のマンションにいさせてもらっています。

 そればかりか。
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