私のおさげをほどかないで!
***
「あ、私は大丈夫です。あの、車、見せてもらってても構いませんか?」
四季ちゃんもそれを察したみたいに奏芽さんの愛車を指さすの。
奏芽さんはそれにホッとしたみたいに「もちろん。何なら先に乗っててくれても構わねぇよ」って四季ちゃんに鍵を手渡した。
四季ちゃんが奏芽さんの車の方へ歩き去っていくのをぼんやりと見つめながら、私は未だに奏芽さんを真っ直ぐ見返すことができなくて視線を彷徨わせる。
「凜子、こっち向けよ」
それに気づいていらっしゃるんだろうな。
奏芽さんがそう言って、まるで腫れ物を扱うみたいに私の頬にそっと触れた。
温かい手指の感触と、触れられ慣れたその大きさ、そうして鼻に馴染んだ大好きな奏芽さんの香りに、私はやっと、いま目の前にいるのは紛れもなく私の大好きな奏芽さんなのだと認識する。
さっきから優しく語りかけられている声だって、好みのど真ん中の、奏芽さんの低音ボイスだ。
「ホントに……奏芽……さん……なんです、よ、ね?」
「あ、私は大丈夫です。あの、車、見せてもらってても構いませんか?」
四季ちゃんもそれを察したみたいに奏芽さんの愛車を指さすの。
奏芽さんはそれにホッとしたみたいに「もちろん。何なら先に乗っててくれても構わねぇよ」って四季ちゃんに鍵を手渡した。
四季ちゃんが奏芽さんの車の方へ歩き去っていくのをぼんやりと見つめながら、私は未だに奏芽さんを真っ直ぐ見返すことができなくて視線を彷徨わせる。
「凜子、こっち向けよ」
それに気づいていらっしゃるんだろうな。
奏芽さんがそう言って、まるで腫れ物を扱うみたいに私の頬にそっと触れた。
温かい手指の感触と、触れられ慣れたその大きさ、そうして鼻に馴染んだ大好きな奏芽さんの香りに、私はやっと、いま目の前にいるのは紛れもなく私の大好きな奏芽さんなのだと認識する。
さっきから優しく語りかけられている声だって、好みのど真ん中の、奏芽さんの低音ボイスだ。
「ホントに……奏芽……さん……なんです、よ、ね?」