私のおさげをほどかないで!
***
凜子の母親に、買い物を任されてもいいと言ってしまった手前、何も聞かずに出るというわけにもいかず。
俺は凜子に「ちょっと待っててな?」と声をかけて台所に向かった。
俺の声が聞こえていなかったとは思えないんだけど、お母さんはキッチンで流しの方を向いて突っ立っていて。
「向井、さん?」
そっと声を掛けたら小さく肩が跳ねたのが分かった。
その様子に「おや?」と思う。
向井さんは俺の方を見ると、視線だけで台所の先の部屋についてくるようにうながしてきて。
俺は何事だろう?と少し怖くなった。
凜子の前では言えなかったけど、とか言われて今更あれこれ反対されるんじゃないかと思うと無意識に小さく吐息が漏れた。
凜子の母親に、買い物を任されてもいいと言ってしまった手前、何も聞かずに出るというわけにもいかず。
俺は凜子に「ちょっと待っててな?」と声をかけて台所に向かった。
俺の声が聞こえていなかったとは思えないんだけど、お母さんはキッチンで流しの方を向いて突っ立っていて。
「向井、さん?」
そっと声を掛けたら小さく肩が跳ねたのが分かった。
その様子に「おや?」と思う。
向井さんは俺の方を見ると、視線だけで台所の先の部屋についてくるようにうながしてきて。
俺は何事だろう?と少し怖くなった。
凜子の前では言えなかったけど、とか言われて今更あれこれ反対されるんじゃないかと思うと無意識に小さく吐息が漏れた。