私のおさげをほどかないで!
***
「お母さん、会いに行ってよかったな」
奏芽さんと一緒に暮らしてきた――そうしてこれからも一緒に暮らしていく予定のマンションに着いて、荷物を降ろしたと同時。
奏芽さんがそう言って、背後からギュッと抱きしめてくださって、それが凄く嬉しくて。
私は彼の腕の中でうなずきながら、感極まって涙ぐんでしまった。
ポトリとこぼれ落ちた涙の雫が奏芽さんの腕を濡らして。
「凜子は本当、泣き虫だな」
お母さんにも実家で、「涙もろい子ねぇ」って鼻声で言われたのを思い出す。
私の涙腺が甘いのは、お母さん譲りなのに。
優しくて心配性のお母さんに、変な事件に巻き込まれてしまったことを告白しないでいられて、本当によかったって思ったの。
だって知られたら絶対に泣かせてしまっていたと思うから。
「奏芽さん、実家では……あの事件をお母さんに言わないでいてくださって……本当に有難うございました」
「お母さん、会いに行ってよかったな」
奏芽さんと一緒に暮らしてきた――そうしてこれからも一緒に暮らしていく予定のマンションに着いて、荷物を降ろしたと同時。
奏芽さんがそう言って、背後からギュッと抱きしめてくださって、それが凄く嬉しくて。
私は彼の腕の中でうなずきながら、感極まって涙ぐんでしまった。
ポトリとこぼれ落ちた涙の雫が奏芽さんの腕を濡らして。
「凜子は本当、泣き虫だな」
お母さんにも実家で、「涙もろい子ねぇ」って鼻声で言われたのを思い出す。
私の涙腺が甘いのは、お母さん譲りなのに。
優しくて心配性のお母さんに、変な事件に巻き込まれてしまったことを告白しないでいられて、本当によかったって思ったの。
だって知られたら絶対に泣かせてしまっていたと思うから。
「奏芽さん、実家では……あの事件をお母さんに言わないでいてくださって……本当に有難うございました」