私のおさげをほどかないで!
 でも、そのせいで奏芽(かなめ)さんは、まだ肌すら合わせたことのない私との結婚だなんて大それたことを言わなくてはいけなくなってしまったんじゃないかな。

 ふとそう思い至って、何だかとても大きな代償を奏芽さんに払わせてしまったみたいな気持ちがして申し訳なく感じてしまう。


 奏芽さんの腕の中で小さく身じろいで向かい合わせになるように身体の向きを変えると、奏芽さんをじっと見上げた。
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