私のおさげをほどかないで!
 その顔を見た奏芽(かなめ)さんに、「何でそんな申し訳なさそうな顔すんだよ?」って鼻をつままれてしまった。


「あ、あのっ――!」

 それで、さっき思ったことを言おうとしたら、まるでその先の言葉を封じるみたいに、奏芽さんが言うの。

凜子(りんこ)。俺、あっちで凜子のお母さんに結婚の意思表示しただろ? うちの親にも同じように話して……構わないか?」

 って。


 私は声を出そうと開いていた口を閉じられないまま、思わず動きを止めて奏芽さんをじっと仰ぎ見てしまった。
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