私のおさげをほどかないで!
***

「俺、遠く離れてる凜子(りんこ)のお袋さんの分まで、凜子のこと、しっかり守るから」


 私を腕の中に閉じ込めたまま、奏芽(かなめ)さんが何かを決意したみたいにぽつりとそうつぶやいて。

 私はそのお声の力強さに、彼の顔をじっと見つめずにはいられなくて。

「もう2度とあんな怖い思いはさせないって約束する」

 言われて、目尻に溜まったままだった涙をそっと拭われて、唇にまるで誓いみたいな優しいキスを落とされた。


 いつもと一緒。

 彼がくれたそれはやっぱり大人のキスではなかったけれど、でもこのキスにはすごくすごく深い意味があるって感じたの。


「凜子、ずっと一緒にいような?」


 唇を離した奏芽さんからそう言われて、私は何度も何度もうなずきながら、大好きな人の名前を小さくつぶやいた。


「奏芽さん……」


 ――私、奏芽さんが大好きです!
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