私のおさげをほどかないで!
「でも、はナシな? もう予約も入れてあるし、今からじゃキャンセル料取られて()()()だぞ?」


「あ、あのっ、その予約は……」

 いつ入れたんですか?
 そう聞こうとしたら「野暮なことは聞きっこなし、な?」とこれも最後まで言わせてもらえなかった。

 奏芽(かなめ)さんのことだから、絶対かなり前には予約がしてあった気がするの。

 そもそも数ヶ月後の予約でないと取れないホテルだものっ。


 でも……それをキャンセル料が発生する今頃になって告げてくるとか……策士だ、って思った。


 私が〝損〟とか〝もったいない〟とか言う言葉に弱いの知ってて……。本当ズルイ。

凜子(りんこ)成人(おとな)になる二十歳(はたち)誕生日(ふしめ)だろ? ちったぁ年上彼氏らしく、カッコつけさせろよ」


 恨めしげに奏芽(かなめ)さんを見上げたら、苦笑されながらそう言われてしまった。

 その顔が何だかちっとも憎めなくて、私は思わず笑ってしまった。


 そうして、奏芽さんがサラリと告げた、〝二十歳(はたち)の節目〟という言葉に、今更のように心臓がドキドキと跳ね始めて。



 私、そのホテルで奏芽さんに――?


 そう考えた途端、耳までぶわりと熱がのぼって、一気に身体中が火照ってしまう。


 そこでハッとした。
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