私のおさげをほどかないで!
「……マジ、こんな時まで……勉強熱心かよ……っ」

 ぽつりと。

 奏芽(かなめ)さんが溜め息まじりにそうこぼして。


凜子(りんこ)、本当、言動が予測不能過ぎて俺、すげぇ困るんだけど」

 って苦笑するの。




「か、な……めさん?」

 奏芽さんのその言葉に、私はにわかに不安になって彼を見上げようとして。

 でも全然身動きが取れなくて。


 ギュッと私の頭をご自身の身体に押し付けるようにして、奏芽さんが言うの。


「……凜子(りんこ)は何も準備とかしなくていい。――俺が……ちゃんとするから」


 何故か押し付けられた奏芽(かなめ)さんの胸の鼓動が物凄く早い気がする……。

 気のせいかな?って思ったけれど、身じろいでみても顔を上げさせてもらえないことで、やっぱり気のせいじゃないかも?って気がついた。




 奏芽さん。
 もしかして私、あなたが照れてしまうような恥ずかしいこと、言っちゃいましたか?
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