私のおさげをほどかないで!
 今の私、湯船に浸かっちゃ……ダメ、なんだよね?


 はぁ、っとひとつ溜め息を落とすと、シャワーコックをひねって、奏芽(かなめ)さんに言われた通り、ちゃんとバスチェアに腰掛けてシャワーを浴びる。


 さすが高級ホテルだな。
 アメニティグッズも何だか高価そう。


 ちゃんと日本人向けを意識してあって、においとかもきつくないの。


 ボディソープは優しい石けんの香り。

 シャンプーはローズ系なのかな?
 そんなに濃い香りじゃなくて、仄かに香る程度の印象で。


「いい匂い」


 ボディソープで洗い上がったばかりの腕の残り()や、髪の毛から立ち昇るシャンプーの香りを嗅いで、ちょっとドキドキする。


 奏芽(かなめ)さんもこの香り、嫌いじゃないといいな。


 そこまで考えて、奏芽さんもここで入浴なさったら、私と同じ匂いになるのかな?って思って、すごく照れ臭くなってしまった。
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