私のおさげをほどかないで!
「……あの、私、もう大、丈夫、なので……。その、か、奏芽(かなめ)さんもっ、お、お風呂へ……」

 ここで待ってますので……。

 消え入りそうなぐらいの小声で付け加えたけれど、奏芽さんにはしっかり聞こえたみたい。


 額にチュッと軽いキスを落としてくれると、すぐそばに置かれていたグラスを差し出してきて。

「一応(コレ)、飲んどけ。――な?」

 言ってふわりと私の頭を撫でてから、「すぐ戻るけど……なんかあったら遠慮なく呼べよ?」って心配そうに私を見つめるの。

 私はコクッとうなずいた。


 奏芽さん。
 早くお風呂から上がって来てください……。


 それで私を――。


 早くあなたのものにしてください。
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