私のおさげをほどかないで!
あなたで2人目です
 結局しばらく休んでもなかなか動けるように――というか歩けるようになれなくて……。

 脚の間にいつまでも奏芽(かなめ)さんを受け入れたままのような感覚が残っています、だなんて……恥ずかしくて言えないっ。


 そうこうしているうちに、
「そろそろ、()()()かな。行こうか」
 って奏芽さんが言って。


 こ、頃合いって何がだろう? それに。

「……い、行くって……どこへです、か?」

 げ、現状で歩くのはすっごく難しいです、と思ってオロオロしたら、「風呂」とか。

 え!?

「あ、あのっ。いつの間にそんな話になってしまったのでしょう?」

 どうしよう!?って布団を引き上げるようにして(もぐ)り込んだら、そのまま布団で(くる)まれて抱き上げられてしまう。

「さっき。――落ち着いたら一緒に風呂入ろうな?って誘ったら、凜子(りんこ)、うなずいたぞ? そろそろ湯も溜まった頃だと思うし……入ろうぜ?」

 ミノムシ状態の私をお姫様抱っこしたまま奏芽さんがニヤリと笑って、私は布団をギュッと握り締めて真っ赤になる。

「そっ、そんなことっ」
「ありましたよ、凜子さん」

 記憶にないですと言おうとしたら、まるでそれは許さないと言う風に即座に言葉を半ばでさらわれた。

「うーーー」

 うなってみたけれど、ククッと喉の奥で楽しそうに笑われただけで、流されてしまう。

 あーん、奏芽さん、手強い!
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