私のおさげをほどかないで!
 え? どうして?

 ソワソワしながら奏芽(かなめ)さんを見上げたら、「なぁ、初っ端って……やっぱりあの幼なじみの男……?」って、どこか険の感じられる低い声音で告げてくるの。

 私はその言葉にキョトンとしてしまう。


 そこで初めて、奏芽さんが()()()をなさっていることに気が付いた。


「あっ、ち、違いますっ。こんな恥ずかしい姿、のぶちゃんにも見せたことないですっ」


 慌てて言ったら「え?」という顔をされて。

「だったら……」
 誰?という表情をなさるのへ、私は思わず笑みが漏れてしまう。


「1人目は――()()()()です」

 言ったら、奏芽さんが瞳を見開かれて。


「ちょっ、凜子(りんこ)、そこカウントするの反則だろ」
 とか。
 妬いた自分のことを恥じたみたいに苦笑なさるの。


「え? でっ、でも……事実ですよ?」


 私以外で、私が髪を下ろしているところを見たことがあるのは……奏芽さんを除いたら本当にお母さんだけです。

 でもそれって実質は……。
< 451 / 632 >

この作品をシェア

pagetop