私のおさげをほどかないで!
 どうせ離してもらえないのなら。
 このまま()()()()()かされてしまうのは嫌だ、と思って。

 私をこんなに(みだ)らにしてしまうのが奏芽(かなめ)さんなのだとしたら、私だって奏芽さんを同じようにグズグズに崩したい。

 そんな無謀なことを思いはしたものの、恥ずかしくて言えない私は、「……奏芽さ、んも一緒、が……い、ですっ」と口走ってしまっていた。


凜子(りんこ)っ」

 途端、奏芽さんに名前を呼ばれて抱き上げられて、湯船の中、彼にお尻を向けるような格好で立たされて。

 彼の唇が下肢から離れたことにホッとして油断している私に、奏芽さんが

「ゴム、風呂場(こっち)に持ってきてねぇから……。凜子、協力してくれるか?」

 背後から抱きしめるようにして、耳元でそうささやくの。


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