私のおさげをほどかないで!
「と、とにかく! 何も無理して私のレジに並ばなくてもいいようになってたじゃないですか」

 鳥飼(とりかい)さんが単に若い女性好きなチャラ男なら、そういうことでしょう?

 何、時間の無駄遣いした挙げ句、私にそんなこと言ってくるの?
 何考えてるの。
 そもそも仕事の時間、大丈夫なの!?

 そこまで考えて、今日は土曜日だったと思い出す。

 土曜って病院はお休み?
 それとも診察は午前だけで午後からフリー?
 だから時間があって、こんな酔狂なことしちゃったの?


「時間が勿体無いです。バカみたいです」

 私は学業とバイトの両立に日々苦労しているの。

 要領がそんなによくないのがいけないのかもしれないけれど、無駄なことに使う時間は微塵もないとすら思ってる。

 だから……彼みたいにわけの分からないことで時間を浪費する人を見るとイラッとしてしまうのよ。

「わー、向井ちゃん、それ、本気で言ってる? だとしたらキミのほうこそおバカさんだね」

 なのに鳥飼さんは私の言葉を愚の骨頂だとでも言いたげに一蹴するの。
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