私のおさげをほどかないで!
 「はい」って応じると扉が開いて、奏芽(かなめ)さんが立っていた。

 思わず立ち上がって彼の方へ駆け寄った私に、
凜子(りんこ)、大学にいるんじゃなかったのかよ?」
 って問いかけられてソワソワする。

「まさか、1人で来たのか?」
 静かな声音で責めるように問われて、私は恐る恐るコクン、とうなずいた。

「ごめんなさいっ。でも……私っ、どうしても――」
 日常を取り戻したかったんです、と小声で付け加えたら、途端ぎゅっと抱きしめられた。

 休憩室の扉、開きっぱなしだし、誰かに見られてしまいそうでドキドキしてしまう。
 でも、それ以上に大好きな奏芽さんの香りに包まれたことが嬉しくて。
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