私のおさげをほどかないで!
「わ、私っ、もう大人ですっ。小児(こども)じゃありません!」

 今度こそ彼の手からおさげを奪取すると、奏芽(かなめ)さんを押し除けるようにして診察台から立ち上がった。

 自分でも分かる。

 今、私、絶対に耳まで真っ赤になってる……。

「……だな」

 まだ何かされるんじゃないかと身構える私に、奏芽さんが拍子抜けするぐらい毒気のない笑みを浮かべた。

凜子(りんこ)はどっからどう見てももう子供じゃねぇんだわ。――だから俺、困ってんじゃん? 正直凜子のこと、奪い尽くしたいし、抱きつぶしたくてたまらないって思ってんだよ。もちろん今も、な? ――けど……」

 服越し、聴診器を私の胸の上部に当てて、奏芽さんが言うの。

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