私のおさげをほどかないで!
***

「あのね、奏芽(かなめ)さん、四季(しき)ちゃんが……男の人は定期的に……その……だ、()()()()()大変なことになるって言うんですけど……」

 どうやら俺がド派手に大学の正門前に凜子(りんこ)を迎えに行ったことがきっかけになって、ようやく彼女にも幾人かの気のおけない友達ができたらしい。

 その火付け役になったのが、いま凜子の口から名前の上がった「片山(かたやま)四季(しき)」と言う()らしく――。
 何人か名前が上がる友人たちのなかで、ダントツで登場回数が多いことから(かんが)みるに、1番仲がいいのがその子なんだと思う。

 片山さんとは、俺も凜子に会いに大学へ行った時に1度だけ会ったことがある。

 前下がりのショートマッシュを、ココアベージュに染めた彼女は、黒のノースリーブに白のワイドパンツといったシンプルな装いを大人顔負けの色香で着こなしていた。
 一見大人しめで真面目女子な凜子とは接点のなさそうなタイプに見えたが、凜子が言うには彼女は俺とどこか似ているらしい。

 初対面ですぐ下の名前を聞いてきたり、妙に押しが強いところとか、本当ソックリで驚きました!と言われた俺は、凜子(りんこ)がその子を選んだことを喜ぶべきなのか正直戸惑った。

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