私のおさげをほどかないで！

はんぶんこ

　車を商店街付近のコインパーキングに駐車して、たくさんのお店が立ち並ぶ町並みを２人でのんびり歩こうってことになった。

　車を降りた途端、アスファルトからの照り返しの熱気と、どこからともなく聞こえてくるセミたちの大合唱にひるみそうになる。

　私のすぐ横に立った奏芽(かなめ)さんに、当然のように手を差し出されて、でも……手を繋いだら手汗とかで不快にさせてしまうかもしれないと、それが気になってなかなか手を伸ばせない。

　こら、凜子(りんこ)！　何のために今日はリュックにしたの？
　奏芽さんと手を繋ぎたかったからじゃないの？

　そう自分を鼓舞してそっと手を伸ばしたら、ギュッと握られて。

　さっきみたいにシンプルに繋ぐだけかと思ったら、指と指を絡めるように組み直された。

　こっ、これは……いわゆる恋人繋ぎ！？

　そう思っただけで奏芽さんと私、お付き合いしてるんだ、って実感がにわかに湧いてきて心臓が早鐘を打ち始める。