私のおさげをほどかないで!
「あ、あの……か、なめさんっ」
 その状態のまま、でもでも私は言わずにはいられない。

「わ、私っ。今、その、すっ、すごく緊張してて……。だから手っ。……手に汗とか……た、たくさんかいちゃうかも知れないんですっ。だから……」

 せめて手と手の間にこのハンカチを……。

 オロオロしながら奏芽さんを見上げてポケットからハンカチを取り出したら、奏芽さんが瞳を見開くの。

 次いですぐにそっぽを向いて肩を震わせ始めて。

 最初は何だか分からなかったけど、どうやら奏芽さん、笑いを堪えるのに必死みたい?
< 540 / 632 >

この作品をシェア

pagetop